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ていうんコラム5column

書き順について

 小学校では文部科学省の定めにより、国語で習う文字は1つの文字に1つの書き順を習います。実は何通りか有る文字が多いのですが、混乱を防ぐため1種類の書き順しか教えません。
 どうしてこの書き順が正しいのか尋ねても、文科省で決めているから、教科書に書いてあるからとしか教えられません。
 書を勉強した方であれば、どうしてこのように書くのか、また行書や草書では、違った書き順があり、必然的に書き順が出来ている文字があることを知っているはずです。
 小学生にも、もっと深い勉強をさせては…… とも思いますが、書き順のみに多くの時間をさくわけにもいかず、今の教え方でとりあえずの知識を得られると考え、納得しています。
 勉強はすべてそうでしょうが、小学校で教わるのは基礎的な部分で、中学、高校、大学と進むにつれてどんどん深く広くなり、真理に近づいていき、それでも探求したい方は、一生勉強するのでしょう。
 私たちの続けている書道も、もっと深く探求するために毎日努力しているのです。
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 前置きが長くなりましたが、小学校で習うのは基礎の部分です。文字は長い歴史があり、その中に必然や真理が息づいているのです。
 「書き順は一つで、美しく書くにはこの通り書く」と教わり、その後書を学ばない方は、美しい文字は小学校で教わった教科書活字で、これをその通り書ける人が上手いと思うでしょう。文字には一つの手本のような物があり、その通り書かなければならない…等 考えている方に、もっと書の魅力を知って頂きたい。書には一つの文字でも楷書、行書、草書、隷書、篆書等の代表的な分類が有り、それぞれが時代や筆者によって書き方が違い、目的によっても異なります。中国から学んだ日本の漢字でも和様という思想が加味されることで表現が変わってきます。

 楷書にもいくつもの古典があり、現在に残された多くの書家の文字があります。
 そうなると書き順も何通りかあり、お手本となる字形、字体も沢山有ることに気づかれると思います。
                ✿

 その一つとして、書き順について考えてみます。
書き順は文字の形が取りやすく、書きやすい順番で、この通り書くと均整がとれ、美しく流れよく書けるために、必然的に決まってきたのです。ですから書きやすさから言うといくつかの筆順があります。
 ただ、書きやすいからといっても文字の成り立ちから、書き順が違うと区別が付けにくくなる文字もあります。

 正しい書き順を覚えることは、文字を美しく書こうとすることが第一歩です。書き順がおかしいと形が悪くなるだけで無く、行書や草書を書いて恥をかいてしまいます。その一部分について紹介いたします。

 下記については、私なりの考えの箇所もありますので間違っている解釈もあるかも知れません。あくまで参考にして頂ければと思い紹介させていただきます。

1.「必」の書き順

小学校で習うものは一つですが、何通りかあります。ただ心を書いてノと書くのは間違いです。

     
 ○ 文字の成り立ち
飾りの付いた戈(武器・祭器)の形による
※心とは成り立ちが違う
 ○必の字源 ○心の字源
心臓の形
     

2.「右」、「左」の書き順

「右」はノから、「左」は一から書くことは小学校で教えます。
では、何故でしょう?
右は一が長いのでノから書いた方が形が取りやすい。小学校でならうものは一つですが、何通りかあります。

       
○篆書体の書き方が残っていると思います。
右は一から書かれる場合も希にあります。一から書いたら誤字とは言えませんが
異質に見えます。
○右の字源
右の手で器(祝詞を入れる)を持つ形
右手の手の部分(ノ)を先に書きます
○左の字源
左手で工具(神を呼ぶ道具)のようなものを持っている
手の部分(一)を先に書きます。

3.「成」の書き順


     
 ノから先に書きます。  ○成の字源
戈(武器・祭器)に糸飾りなどを加えた形。戈にノが付くと戊です。これもノが先です。感、戚もそうです。
 行書

3.「飛」「昇」の書き順

飛や 昇は書き順どおり書くと美しく書ける

   
 常識的には上から下、左から右ですが、釣り合いを取りやすくするために、
中心や基準になる部分を先に書く場合もあります。

終わりに

書き順についてはまだまだ沢山の法則がありますが、数例を紹介させていただきました。
正しい書き順を覚えると堂々と字が書けます。
理にかなった、美しい文字、理知的で生命感溢れる文字を書いてください。

2015.5

  
                     

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